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「FANG」が「ハイテク株」でなくなる日

 

米動画配信大手 ネットフリックス は厳密に言うと何をしている企業なのか。

株式市場では大人気のハイテク株と同じように取引されており、映画やテレビ番組の制作に数十億ドルを投じている。だが、ネットフリックスはS&P500種指数の「一般消費財」セクターに分類されており、アロマキャンドルの米最大手ヤンキーキャンドルを傘下に持つ米日用品大手ニューウェル・ブランズの隣に鎮座しているのだ。

来年、S&P500種指数のセクター分類が見直される。

 S&Pグローバル傘下のS&P Dow Jones Indicesとモルガン・スタンレー・キャピタル・インターナショナル(MSCI)は先週、「コミュニケーションサービス」という新たなセクターを作ることを明らかにした。米グーグルの親会社アルファベットやフェイスブック、ネットフリックスなどがこのセクターに入る可能性が高い。ゴールドマン・サックスの推計によると、同セクターの時価総額はS&P500種指数全体の約10%を占める。

今回の見直しで「電気通信サービス」は廃止され、このセクターの企業は「コミュニケーションサービス」に分類される。「電気通信サービス」には現在、AT&T、ベライゾン・コミュケーションズ、センチュリーリンクの3社しか入っておらず、この3社を合わせた時価総額はS&P500種指数全体の2%弱にすぎない。

また、「一般消費財」に分類されているメディア・娯楽銘柄13社が「コミュニケーションサービス」に移る可能性が高い。ゴールドマンによると、米広告大手オムニコム・グループや米メディア大手CBS、米ケーブルテレビ(CATV)大手のチャーター・コミュニケーションズなどが対象になりそうだ。

S&P Dow Jones IndicesとMSCIは来年1月、セクターが変わる大型株のリストを発表し、8月には分類を見直す全銘柄を公表する予定。「コミュニケーションサービス」セクターは来年9月末に導入される。

ゴールドマンによると、フェイスブックとアルファベットは米ゲームソフト大手のアクティビジョン・ブリザードやエレクトロニック・アーツ(EA)と共に、「情報技術(IT)」セクターから新しいセクターに移る公算が大きい。

指数の見直しは近年のコミュニーションサービス業界の変容を受けたものだ。相次ぐ買収・合併(M&A)で業界の統合が進み、電話会社はCATV・インターネットサービスの提供や独自コンテンツ制作など広範囲に事業を拡大した。10年前、S&P500種指数の「電気通信サービス」セクターにはスプリント・ネクステルやクウェスト・コミュニーションズ・インターナショナルが含まれていたが、どちらも買収され、S&P500種指数から外された。不動産投資信託(REIT)に転換したアメリカン・タワーなどの通信塔運営会社も「電気通信サービス」セクターから除外された。

S&P Dow Jones Indicesの指数委員会で委員長を務めるデビッド・ブリッツァー氏は「メディア、コミュニケーションサービス、コンテンツ制作(を手掛ける企業)の線引きはあいまいだ。これらの企業が提供するサービスは重複しており、1つ(のセクター)にまとめるべきだということを今こそ認識する必要がある」と述べた。

「世界産業分類基準(GICS)」のセクター変更はめったにない。GICSとは、1999年にスタンダード・アンド・プアーズ(S&P、現S&Pグローバル)とMSCIが共同開発した産業分類。昨年、導入以来で初めて大幅な変更が加えられ、「金融」の一部だった「不動産」が切り離されて独立したセクターとなった。

では来年、変更が実施された後はどうなるのか。S&P500種指数に連動する投資信託ファンドや上場投資信託(ETF)は変更に合わせて資産配分の再調整を行うだろう。S&P500種指数やMSCI指数のITセクターに連動するITファンドは、フェイスブック、アマゾン、ネットフリックス、グーグル(アルファベット)のいわゆる「FANG」株を保有しなくなる可能性がある(アマゾンは「IT」ではなく「一般消費財」に分類されている)。

以上、Wall Street Journalより要約・引用しました。

 

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