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50歳以上でよいキャリアを手に入れる秘策

 

年配になってもキャリアアップを続けている人たちに秘訣を聞く

50歳を超えた労働者にとって、たとえ完全な売り手市場であっても、経験よりも若さが重視されがちな職場で競争力を維持するのは大変だ。

特に、コロナ対策によるロックダウンの初期に失職し、再就職を目指している年配の人たちにとっては、厳しい状況が続いている。コロナによって職場環境が一変したことで、50代以上の労働者はオフィスに戻ることや新しい働き方に適応することに消極的だ、という考えが一部の雇用主の間で強まっているのではとの懸念を多くの人が口にしている。

米国では、過去2年に早期リタイアした数百万人の人たちを除き50代以上の労働者は若い労働者ほど雇用回復の流れに加わることができていない。米連邦政府のデータによると、1月は55歳以上の求職者の約3分の1が長期失業者だったのに対して、16~54歳の求職者ではその割合が21.8%にとどまっている。

全米退職者協会(AARP)の最新の調査で、40~65歳の労働者の78%が2020年に年齢差別を経験したと答えており、AARPがこのデータの追跡を開始した2003年以来で最も高い割合となっているのも、意外ではないのかもしれない。

働き始めて40~50年たってもキャリアアップを続けている人たちは、それなりに戦略を立ててきたと話している。

年齢差別に真っ向から取り組む

ルールその1は、年齢差別を避けるのではなく、真正面から向き合うことだ。その方法の一つは、採用担当者らと対面で面接するときの印象と、履歴書を選別する担当者がその内容を読んだときの印象の両方を若々しく見せることだという。また、自身を後輩にとって有力なメンターとして売り込む方法もある。

「決してあきらめては駄目」。昨年、企業買収部門の営業マネジャー職を失い、今年2月からカスタマーサクセスマネジャーとして新しい仕事に就いているジェニファー・ケイ・ラウズさん(61)はこう話す。

学術研究や雇用の専門家によると、年齢差別は最も陰湿な職場内差別の一つとして根強く残っているという。ニューヨーク大学とスタンフォード大学の研究者が2021年に行った調査によると、職場の人種差別や性差別に反対している人でさえも、年配の従業員に対して偏見を抱いており、彼らは若い同僚のために引退すべきだと考えているようだ。

多くの求人広告は、「デジタルネイティブ」や「新卒」などの言葉が使用されており、若い求職者をターゲットにしているとみられる。また、雇用主は実績のあるベテランではなく、新進気鋭の人材に的を絞って採用活動をしている。状況が厳しくないわけではないが、突破口を探すことが大切だ。

履歴書を改善する

前出のラウズさんは、面接官に建設的なアドバイスを求め、「手堅い評価」や「高い能力」といった文言を使用して履歴書に磨きをかけたことで、産業オートメーション会社で新しい職を得られたと話す。

ラウズさんは、健康を維持し、「エッジの効いた」髪型で若々しい見た目を保っている。面接にまでこぎ着けても、採用には至らないことが何度か続いた後、面接官に「(自身の)好奇心を満たすために、年齢が関係あるのかどうか」を率直に教えてほしいと頼んだ。

その面接官は、年齢について直接言及はしなかったが、ラウズさんの経験の長さが、利口ぶった態度を取っていると面接官に思わせたのかもしれないと話した。そこで、アプローチを少し変え、協調性があることを面接で強調した。また、年齢が上であることを認め、年下の同僚を指導できることや、彼らから指導を受けることにも前向きであることをアピールした。

また、ビジネス向け交流サイト「リンクトイン」で見つけた専門家に125ドル支払って履歴書を作成し直してもらった。今どきのフォーマットを使用し、「卓越した顧客関係」などの流行の文言を加えたことで、雇用主からの反応も良くなったという。ラウズさんは現在、新しい仕事で前職よりも多くの収入を得ている。

ロボットにはじかれないようにする

雇用主は応募者の年齢を理由に拒否することは法的にできないが、求人広告や応募者を選別するアルゴリズムでさりげなく年齢差別が行われている場合がある。応募者を選別するソフトウエアは、履歴書に長い空白期間がある年配の労働者を除外している可能性がある。キャリアコーチや人材スカウト担当者によると、「ワードパーフェクト」を使いこなせるとか、AOLのメールアカウントを持っているなどの古いサービスの利用経験も、応募者の年齢を判断する材料になる。

ワシントン州ベリンハム在住で、17年勤めた会社の配送・物流の中間管理職を2018年に解雇されたデール・ジョンストンさん(56)は、アルゴリズムによって自分の履歴書が選別される可能性を覚悟していたと話す。そこで、例えば「17年」と書くところを、「10年以上」と書いたりしたという。

ジョンストンさんは「ロボットや人工知能(AI)を突破するために、書き込む内容や期間を非常に意識しなければならなかった」とし、「うそはつかなかった。ただ年齢を完全に公表しなかっただけだ」と述べた。

また、髪が長いと白髪が目立つため、面接を受けていた間は髪を常に短く刈り上げていたという。2019年に自治体のアナリストとして就職したが、1年後にコスト削減のあおりで失職。同様の手法で物流輸送会社の業務マネジャーに応募し、現在はそこで働いている。

自分をメンターとして位置づける

サンフランシスコでキャリアコーチと人材スカウトを行うジニー・チェン氏は、職歴でほぼ年齢が分かってしまう場合、初期のものは履歴書から削除した方がいいと顧客にアドバイスしている。

「通算の職歴は25年以上であったとしても、応募中の新たな職務には最後の15年が最も関連がある場合、新しい期間に焦点を当てればいい」とチェン氏は話す。

雇用の専門家によると、重要なのは年齢ではなく、才能に焦点を当てることだ。米シンクタンク、アーバンインスティテュートで退職政策プログラムのディレクターを務めるリチャード・ジョンソン氏は「雇用主が重視しているのは知識だ。したがって、労働力として過ごした期間ではなく、何を学んできたかや何が得意かを強調することが重要だ」と述べた。

ハリー・モーズリーさんは、2018年初めに会計事務所KPMGの米国支社の最高情報責任者(CIO)を62歳でやめて引退したが、数カ月後に今度は自分をメンターとして売り込み、労働力に復帰した。

短い引退期間には、自分の人脈に新たな冒険に前向きであることを伝え、別の会社でコーチングを手伝ったりもした。すると、すぐに友人からズーム・ビデオ・コミュニケーションズのCIOの仕事を持ちかけられた。フルタイムの仕事に戻りたいとは思っていなかったが、その職務には興奮を覚えたという。

2018年3月からズームで働き始め、主に居住地のニューヨーク周辺で仕事をしている、現在66歳のモーズリーさんは、変化に抵抗があるように見せないよう心がけているという。「心を開き、違う方法で物事を見る必要がある」とモーズリーさんは話す。

一方で、自分の経験を利用して同僚を指導してもいる。「私は私だ。ありのままの私を受け入れてもらえばいい」

以上、Wall Street Journalより要約・引用しました。
https://www.wsj.com/articles/job-refresh-better-career-after-50-ageism-11645225196?mod=Searchresults_pos1&page=1

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