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解消しない人材不足、新卒の年俸10万ドル超えも

 

この春に卒業する大学4年生の中には、新卒で年俸10万ドル(約1160万円)を手にできるハイテクや金融、コンサルティングの大企業に誇らしい気分で就職する人もいるだろう。

だが、誰もがこの状況に満足しているわけではない。

 2016年にハーバード大学から新卒で投資銀行に入社したミリー・ワンさんは「同僚の銀行員からは不満の声をたくさん聞いた」と話す。ワンさんの初任給は約8万5000ドルだった。

 ワンさんが当時就いていたエントリーレベルの報酬額は現在30%増となっており、当事者である新卒者にとっても信じられないような給与水準となっている。

 コーネル大学のアヌヒャ・タデパリさん(経済・経営学専攻)は、ワンさんが新卒で入社した銀行から年俸11万ドルを提示され、受諾した。

 今年の夏に入社予定のタデパリさんは「新卒でそのような額の収入を得るなんて異常だ」と話している。

 経済の回復が急速に進み、労働市場がひっ迫する中で、新卒者の賃金インフレが起きている。次の新入社員を迎える先輩社員たちは苦々しく思っているかもしれない。入社が数年しか変わらない彼らは嫉妬と懸念を抱いている。年俸10万ドル未満の状態を知らない新入社員は尊大になったり、自分よりも低収入の人の気持ちが理解できなかったりするのではないかと言う人もいる。

 ワンさんは現在、MBA(経営学修士)取得のためハーバード大学に戻っている。彼女はこうした先輩社員について、「プロとして静観する人がほとんどだろう。酒が入ると多少不満が出るかもしれないが」と話す。

 ウォール街の金融機関や一流コンサルティング企業は近年、ハイテク大手やその魅力であるストックオプション制度に対抗するため、報酬金額を引き上げている。またベンチャーキャピタルが出資するスタートアップの中には、卒業式の学士帽投げのように、若い新入社員に現金をばらまく会社もあり、未経験の従業員に10万ドル以上の年俸を提示する業界も出てきている。

JPモルガン・チェース、ゴールドマン・サックス・グループ、シティグループといった一部の銀行は昨年、1年目のアナリスト年俸を10万ドルに引き上げ、すぐに1万ドルを上乗せした。コンサルティング業界の給与を調査するマイ・コンサルティング・オファーによれば、マッキンゼー・アンド・カンパニーとボストン・コンサルティング・グループ(BCG)も基本給を10万ドルに引き上げた。ベイン・アンド・カンパニーのグローバル採用責任者、キース・べバンズ氏によると、同社の新入社員も10万ドルを超える年俸が期待できるという。

 ホワイトカラーの中でも特定の職業はこれまでも高収入だったが、週70時間強の労働と厳しい人事評価が、「年俸10万ドルクラブ」の用心棒役を担っていた。何年もかけてこのクラブへの入会資格を得てきた人々は、初日からVIP待遇を得る後輩社員を目にしていら立ちを覚えている。

 アトランタ在住のサイバーセキュリティー専門家、ジョー・ガーナーさんは「これから社会人になろうとする学生が、新卒で年俸10万ドルとストックオプションを与えられるなんておかしなことだ」と語る。自身の2014年当時の初任給は6万ドルほどだったという。

 ガーナーさんの年俸が10万ドルを超えるまでには数年かかった。労働市場が変化していることは理解しているものの、コンピューターサイエンス業界の新人の中には、早くに経済的成功を手にすることでダメになるケースもあるのではないかとの感を禁じ得ないとガーナーさんは言う。

 「『あんな子どもがなぜテスラに乗っているんだ』などと言われることになる」とガーナーさんは指摘する。

 この背景にはいくつかの理由がある。

米政府の最新データによれば、米国の労働力人口は、新型コロナウイルス流行前の水準から55万5000人不足したままだ。経験豊富な専門職の多くが早期退職をしたり、個人事業主として独立したりしている。人材採用の専門家によると、2020年入社組が就職活動をしていたときにコロナ禍で採用を凍結または縮小していた企業の多くは、まだ必要な人材を埋めるのに苦労しているという。

 年俸も態度も最高水準の(これまで入社が最も困難だった)企業でさえ、新卒者で人材を補充する必要がある。トップレベルの人材獲得競争は熾烈(しれつ)を極めている。

以上、Wall Street Journalより要約・引用しました。

https://www.wsj.com/articles/new-grad-starting-salary-100-000-class-2022-11646852551?mod=Searchresults_pos1&page=1

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