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ライフ・ワークバランス重視の若手の要望を無視できなくなったゴールドマン・サックス

 

wall-street-582918_640ウォールストリートの金融機関にとって、優秀な若手の確保は買い手市場…のはずでした。しかし、若者の意識はゴールドマン・サックスの花形投資銀行においてすら変わってきているようです。

 

ミレニアム世代 - とは現在18-34歳の世代を指し-現在この世代が米国労働者市場の34%を占めています。無視できない大きさです。「この世代は、大学卒業時から、既にワーク・ライフバランスのことを真剣に意識している」とBoydenエグゼクティブ・サーチ会社の金融市場担当者は言います。

 

「彼らはゴールドマン・サックス等のようなトップクラスの投資銀行に入るには入りますが、2年のアナリストプログラムを終えると、『これでレジュメに箔がついた。次に移ろう』と、より拘束時間の短い業界への転職を模索し始めるのです。如何に最短期間でキャリアアップを図るかに余念がありません」

 

ゴールドマン・サックス投信銀行部共同責任者のDavid Solomon氏曰く、採用した若手の100%がゴールドマンに残ることはもちろん想定していないものの、当初想定していた3分の2のアナリスト・プログラム修了者がアソシエイト・プログラムに進むという目標値すら下回っているそうです。

 

こうした背景を踏まえ、2013年にゴールドマンは伝統であった2年のアナリスト・プログラムを廃止しました。現在は、2年のアナリスト期間終了後、3年目にアソシエイトにすぐに昇進できるプログラムに改定。

 

また、3年目のアソシエイト昇進後は、本人希望により1年間のジョブ・ローテーションを可能とし、例えばNY採用のバンカーが、1年間香港の投資銀行で働くことも可能としバンカーとしての経験を蓄積する機会を積極的に与えます。また、Vice Presidentへの昇進にかかる期間も、伝統的な6.5年から5.5年に短縮しました。

 

2000年前後にゴールドマンに入社したバンカーからすると、これは破格の待遇です。当時は2年間のアナリスト・プログラムを終了すると、プライベート・エクイティで追加2年のアナリスト修行をし、その後ビジネススクールに行ってゴールドマンのアソシエイトになる、というルートが普通でした。

 

またアナリスト時代は、徹夜も珍しくなく、起きている時間のほとんどをオフィスで過ごすのが当然という環境でした。現在はワーク・ライフを重視する若手を社に引き留めるため、金曜日に新規案件にアナリストを配属したり、アナリストが土曜日に出社することを禁止しています。

 

youngsters-249963_640ゴールドマンは毎年約2000人の若手を採用します。アナリスト時代の基本給は85000ドル、プラス報酬(ボーナス)です。3年目にアソシエイトになると、基本給も報酬も大幅に増額されます。それでも、2年のアナリスト期間終了後にプライベート・エクイティやGoogleのようなIT企業に転職を希望する若手の意識を変え、投資銀行に優秀な人材を残すことが難しいトレンドは続いているようです。

 

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