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ウォール街の新たな王者、インデックスファンド

 

米株価指数への連動目指すファンドの資産額、初めてアクティブ運用ファンド上回る

投資信託(ファンド)は運用担当者(ファンド・マネージャー)が株式・債券・その他有価証券などの投資割合を決定し、市場の株価指標(ベンチマーク)以上の運用成績を目指すアクティブ・ファンドが通常であった。ファンドの運用成績がベンチマーク指標を上回ることができるかどうかがファンド・マネージャーの手腕であり、その分投資家が負担する手数料も高かった。
一方、インデックスファンドは「日経平均株価」や「S&P500」などの株式指標(インデックス)と同じような値動きをするように作られたファンドであり、手数料は割安である。パッシブファンドとも言われる。
つい最近、インデックスファンド運用会社がファンド業界の新たな巨人となった。

米調査会社のモーニングスターによると、広範な米株価指数への連動を目指すインデックスファンドの資産額は今年8月末時点で4兆2700億ドル(約461兆円)と、月次報告ベースで初めてアクティブファンド(4兆2500億ドル)を上回った。

この逆転は、金融市場史で最も劇的な変化の1つだ。過去10年には、米株市場をまねる投資信託・上場投資信託(ETF)に約1兆3600億ドルが純流入した一方、コストが高いアクティブ投信・ETFから約1兆3200億ドルが純流出した。

こうした変化で個人投資家の投資コストは下がり、ファンドマネージャーの影響は低下。今では、ブラックロック、バンガード・グループ、ステート・ストリートといったインデックスファンド大手が業界で最も強力なブローカーとなり、米ビジネス界に相当な影響力を行使するようになった。これらの資産運用会社は企業の取締役の選定から諸問題に対する企業幹部の対応まで、あらゆることについて決定的な票を投じることができる。

一部では、インデックスファンドの興隆が株価をゆがめ、市場の乱高下を招くと懸念する声も出ている。だが、インデックスファンド大手は、こうした批判が単に恐怖をあおっているだけだとして一笑に付す。

バンガードのティム・バックリー最高経営責任者(CEO)は「インデックスファンドが大きくなっているというが、それほどのものではない。コストの高いアクティブファンドの食い物になっている投資家はまだたくさんいる」と話す。一方、インデックスファンドは米株市場全体を支配するには程遠い。米株市場にインデックスファンドが占める割合は、2010年の約7%から上昇したものの、14%弱だ(インベストメント・カンパニー・インスティテュート調べ)。

ブラックロック、バンガード、ステート・ストリートの3社は、インデックスファンド市場80%のシェアを固めた。ブラックロックとバンガードを合わせると、昨年は純流入の1日平均が約10億ドルだった。ステート・ストリートの「SPDR S&P 500 ETF Trust」は過去1年に最も取引された証券の1つだった。

こうしたインデックスファンド大手は、力を増すにつれ新しい疑問に直面した。1つは、企業に対する影響力をいかに行使すべきかという問題だ。ブラックロック、バンガード、ステート・ストリートは、運用するファンドを通じてS&P500銘柄の約20%を保有している。エクソンモービルに気候変動対応規則の影響を説明するよう株主が迫った時には、インデックス運用大手の票がカギとなった。

証券取引委員会(SEC)のロバート・ジャクソン委員は文書で、「パッシブ投資(インデックスファンド残高)の増加は、21世紀の企業統治に課題を投げかけている」、「米国の数百万世帯の将来を左右する企業の取締役選任にごく少数の個人が影響力を及ぼしかねない」と述べた。

以上、Wall Street Journalより要約・引用しました。https://www.wsj.com/articles/index-funds-are-the-new-kings-of-wall-street-11568799004?mod=searchresults&page=1&pos=4

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