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スーツは時代遅れ。パワフルな働く女性はドレスを着る

 

1988年公開の映画「ワーキング・ガール」以来、女性が職場で愛用する服は進化した。映画ではシガニー・ウィーバーが肩パッド入りの趣味の悪いブレザーをまとい、ウォール街を生き抜いていた。当時の女性はオフィスで男性と同じ土俵に上がろうと男性的な着こなしをまねたが、今はもっと柔軟性を楽しむようになった。

 そして最近では現実でもフィクションの世界でも、草分け的存在の女性たちがスーツよりも体にぴったりフィットする飾り気のないドレス(ワンピース)を好むようになっている。フェイスブックのシェリル・サンドバーグ最高執行責任者(COO)はダボスでそうしたドレスを着ている。HBOテレビの人気ドラマ「ビッグ・リトル・ライズ」では、ローラ・ダーン演じるIT(情報技術)企業幹部のレナータ・クラインがそのようなドレスを着用して闊歩(かっぽ)している。また、ナンシー・ペロシ米下院議長やエリス・ステファニク米下院議員をはじめ民主・共和両党の政治家がそうしたドレスを議会のユニホームにしている。そのような新しいスタイルのドレスを「パワードレス」と呼ぶ。

アクネストゥディオズやブランドンマックスウェル、プラダなどさまざまなブランドの秋コレクションに見られるパワードレスは、ビーチで夏によく見かけるファンシーでふんわりとしたワンピースとは似ても似つかない。むしろ自己への自信を映し出すほっそりとしたデザインへとシフトしている。

 「典型的なパワードレスは露出が少なく、比較的ぴったりとしている。プロフェッショナルな印象を与えるまさにスマートな見た目だ」。高級ファッション通販サイトの英ネッタポルテ(NET-A-PORTER)で仕入れ担当ディレクターを務めるエリザベス・フォン・デル・ゴルツ氏はこう話す。

 事情通にとっては、「パワードレス」という言葉はローランド・ムレ氏がデザインしたギャラクシードレスをすぐに連想させる。パワードレスの原型とも言うべきワンピースで、2005年の秋に発表されて以来、強い人気を誇っている。体に沿ったシルエットと特徴的なキャップスリーブのギャラクシーは、「パワーメッシュ」素材で裏打ちされており、「着る人を内側から支え、安心感を与える」とムレ氏は話す。表地には、従来は男性向けの素材とされていたウールフェルトが使用され、砂時計型のシルエットに重みを与えている。

経営幹部のイメージが変化

 「パワードレスには安定感がある。昼も夜も着用でき、着る人に自信を与え、女らしさをものにできる」とデザイナーのザック・ポーゼン氏は述べ、「それには体をしっかりと支え、安心感をもたらす生地が必要だ」と続ける。恐らく、女性がこうした衣服を着ると強くなったように感じられるのは、そうした強い安心感のためだろう。スマートに全身を包み込むワンピースを着るのには、それなりの理由があるのだ。

 最近のリポートによると、大卒の労働人口の50%超を女性が占めている。高い教育を受けた職場の多数派として、女性は男性が作り上げた権威を象徴するイメージに合わせることは時代後れでつまらないと感じている。

「経営幹部やリーダーに抱くイメージが変わってきている。最近では、それがドレスを着た女性の場合もある」。こう話すのは、ニューヨークで金融業界の広報幹部として働くアリエル・パトリック氏(30)だ。「パワードレスが台頭し始めた背景には、私たち女性がまともに相手にしてもらうために従来の意味で男性のように振る舞ったり、男性のように見せたりする必要があると考えなくなっていることにある」

 「ドレスを着ていると、より強くなり、自由になったように感じる」。米国土安全保障省(DHS)次官補やCNNテレビのアナリストなどを経て、現在は車載ソフトウエアを開発する米グリップ・モビリティーで最高経営責任者(CEO)を務めるジュリエット・カイエム氏も同意する。ドレスの方が出張の際にスーツケースに畳んで入れやすいことや、上下一体のため、組み合わせを考えずに済むことに気づき、5年前にスーツから切り替えたという。

 「実のところ、ジッパー1つで脱ぎ着できる点が気に入っている。単純に楽だから」と笑う。同氏も、パワードレスの人気に女性の正当な自律が一役買っていると考えている。「私は自分の仕事に自信を持っている。パンツスーツを着た方が男性がもっと私と真剣に向き合ってくれるとしても、知ったことではない」

「パワードレス」ではなく「イコールドレス」

 ザック・ポーゼン氏は、そうした周囲の目を気にしない態度を「自己所有感」と呼び、それが働く女性がパワードレスを愛用する主因だとみている。以前は同氏がデザインするドレスは夜の外出向けものが多かった。しかし今日は「取引を成立させたり、法案を可決したり、社長になったりすることを意識したものになっている。そもそもドレスを着用できること自体に非常に大きな力がある」とポーゼン氏は話す。

 目立たないようダークスーツを着て部屋の隅で身をかがめ、壁の花と化す時代は終わったということだ。ポーゼン氏の顧客は、考え抜かれたカットや強いラインで、やや伸縮性のあるドレスを好む人が多いという。

 パワードレスは支持を得つつあるが、その呼び名はパーマや青いアイシャドーと共に捨て去るべきだと感じている人たちもいる。「今になって分かったのは、それはパワードレスではなく、イコールドレスだということだ」とムレ氏は話す。「それは、女性も男性と平等になれるが、スーツを着る必要はないという女性の意思表示だ」

 広報幹部のパトリック氏はとりわけパワードレスという用語を嫌っている。「私が最も嫌いな『ガールボス』という言葉に似ている。『ドレス』だけでは力強さが足りないため、『パワー』という言葉を付け足す必要があると暗に示している感じがする。それは単なるドレスであって、パワフルなのはそれを着ている女性自身だ」

以上、Wall Street Journalより要約・引用しました。https://www.wsj.com/articles/the-most-powerful-women-in-business-wear-dresses-not-suits-11567106879?mod=searchresults&page=1&pos=8

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