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米国の企業経営陣が語る - ビジネス界における男女平等への長い道のり

 

directory-281478_6409月30日、Facebook、ペプシ等、米国を代表する企業の経営陣が、ビジネス界の男女平等達成にはまだまだ多くの課題が残されているという現状についてパネル・ディスカッションを行いました。FacebookのCOO、Sheryl Sandberg(女性)やペプシのCEO、Indra Noori(女性)等、経営トップに上り詰めた女性自身も、いかに自分達のキャリアが普遍事例でないか、何故女性が経営トップに参入することが今現在も難しいのかを、Salesforce.comやBank of Americaの男性経営陣も交えての議論となりました。

 

シリコンバレーで最も知名度の高い女性エグゼクティブ、FacebookのCOO、Sheryl Sandbergは、「企業はダイバーシティーについて語るようになって久しいし、女性の幹部登用にも積極的だと言うけれど、うちの従業員はそんなことは絵に描いた餅だと思っているわ」と語ります。

 

ペプシのCEO、Indra Nooyiも同様に、キャリア形成の為に子供との時間を犠牲にしてきたことを語りました。「私の娘たちは、私に面と向かって、『私はキャリアより家庭を優先するわ。私たちは存在しない母親の元で育ったもの』と言います。女性の社会進出と女性の家庭での役割分担は必ずしも相関関係にありません。

私は会社からダッシュで帰宅して、娘の夕食を作るけど、私の主人がそんなことをしたことはないわ」彼女の経験は、ペプシにおける従業員のフレックス勤務制度を導入するへとつながりました。

彼女はまた、フレックス制度導入だけでは解決できない文化的背景も語ります。「私が駆け出しの頃は、私は常に職場でたった一人の女性でした。面白いプロジェクトは男性が持っていったし、私に回ってきたのは残りかすのようなプロジェクトが多かった。それに、私が提案しても聞く耳を持たれなかった企画が、別の男性が提案すると『素晴らしいアイデアだ』と称賛されて取り上げられたことも何度もありました」現在もその傾向は強く残ると彼女は言います。

 

Bank of AmericaのBrian Moynihan(男性)は8人兄弟の6番目です。「私の両親が年老いた時、世話をかって出たのは僕の姉妹で、兄弟ではなかったよ。本当はそうあるべきではないのに、甘んじていたけれどね。」と語る彼は、従業員が家庭か仕事かを選ばなくていいような環境を作ることは非常に大きな課題であると認識しています。

 

Salesforce.comのCEO、Marc Benioff(男性)は、女性従業員を一括りにして議論することの危険性を指摘し、「女性にも様々なタイプがいる。女性が全て家庭と仕事の両立に苦心していると仮定してかかるのは間違っている」と語りました。

 

McKinsey&CoのGlobal Managing Director、Dominic Barton(男性)も、「McKinseyが女性の昇進を会社の優先事項とすることを伝えたら、実際多くの女性従業員から反発があって驚いた。彼女たちは僕が言っていることを信じなかったし、そもそもそんな後押しはしてほしくないという意見もあったんだ。全ての女性が昇進を求めているわけではないということも念頭に置くべきだ。とにかく、これは従業員を含めて議論していくべきトピックであるのは間違いない」と語りました。

 

男女の雇用機会均等が真剣に語られ始めて少なくとも四半世紀経ちます。しかし実現化の進捗が非常に遅いことに、米国社会が苛立ちを覚えていることが事実です。

 

特にIT業界では女性経営陣の率が低く15%となっています。同様に女性進出の比率が低い金融では同率20%。興味深いのは、金融の就職時の男女比はほぼ半々なのです。これがVice Presidentの段階で女性比率は32%に減ります。

 

new-york-540807_640今後もビジネス界の男女平等については、頻繁に議論されていくトピックとなることでしょう。

 

以上、ウォール・ストリート・ジャーナルより要約引用しました。

 

http://www.wsj.com/articles/long-road-remains-to-gender-equality-in-business-sheryl-sandberg-says-1443658500

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