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<社⻑100⼈アンケート>働き⽅改⾰ 初任給「上げた」7割 年功賃⾦⾒直しは5割に

 

2019年4月より「働き方改革関連法案」の一部が本格的に施行された。企業の間で給与や雇⽤制度の抜本的な⾒直し機運が⾼まっている。⽇本経済新聞社が2⽇まとめた「社⻑100 ⼈アンケート」で、初任給を直近で引き上げたと回答した企業は約7割に上った。⼈材獲得競争が激しく総⼈件費が上昇傾向にある中、年功序列型の賃⾦体系を⾒直すとの回答は5割を超えた。企業には⼊社後も成果に⾒合った報酬で社員の能⼒を引き出しつつ、多様な働き⽅を両⽴させるための取り組みが⼀段と求められる。

アンケートは国内主要企業の社長(会長などを含む)を対象に6月13~27日に実施され、145社から回答を得た。

2018、19年入社の社員に対する初任給を「引き上げた」と回答した企業は67.3%にのぼった。「20年入社での引き上げを決めた」あるいは「引き上げを検討」は4.9%だった。「引き下げ」はゼロだった。引き上げ率は「1割未満」が9割を占めた。

目立つのが、人工知能(AI)やプログラミングなどの能力を持つ若手の獲得を狙った引き上げだ。DMG森精機は19年春入社の大卒社員の初任給を前年から3万1600円増やし25万円とした。ソニーもAIなどに強い人材の給与を最大2割増とした。

若手の待遇改善は幅広い業種に広がる。ファーストリテイリングや、人手不足が深刻な大成建設や鹿島など建設大手も引き上げている。

初任給の引き上げは賃金制度全体を見直す契機になる。年功序列型の定期昇給額を表す賃金カーブについて「すでに見直した」の回答が31.9%に達し、「見直す予定」も19.4%あった。見直す対象は「役割・職務を反映」が45.9%と最も多く、「若年層の引き上げ」(32.4%)が続く。

今の賃金カーブを続け、初任給も高くすると総人件費は増える。ある電機大手は「あらゆる世代や働き方にあった給与体系を検討していく」という。企業が年功型賃金を脱し、能力給の比率を高める傾向は強まりそうだ。

ここ数年で中高年の平均賃金は下がっている。厚生労働省の賃金統計表をもとに分析すると、1000人以上の企業で働く40~44歳の男性の18年の平均年収は726万円と08年比で約70万円減った。45~49歳も同期間で約50万円下がったが、25~29歳は17万円増えている。

日本総合研究所の山田久理事は「企業が初任給を引き上げる一方、年功型の賃金体系は修正が進む。企業はメリハリをつけた賃金設定を進め、若年層や中高年にかかわらず人材流動化の流れは強まる」とみる。

企業の定年延長への対応は割れた。政府が掲げる70歳までの雇用確保の努力義務については「賛成」「どちらかといえば賛成」とした企業は計25.7%だった。「反対」「どちらかといえば反対」は計14.6%で、「どちらともいえない」も58.3%だった。企業はシニア人材の活用方針を決めあぐねている。

SOMPOホールディングスの桜田謙悟社長は「社会保障の持続可能性の観点からも給付を受ける側から支払う側に回る人を増やすべきだ」と定年延長に賛成の姿勢だ。「65歳超の人材は能力・健康状態などに個人差があるため一律に定めるべきではない」(素材大手)と慎重な見方もある。

調査では1つの会社で働き続ける「終身雇用」に対する考え方についても聞いた。「見直す」「どちらかといえば見直す」「見直した」と回答した企業は計15.3%だった。三菱商事の垣内威彦社長は「終身雇用を含めた日本的雇用慣行について、日本企業の競争力強化の観点から検討が始まっていると理解している。今後の雇用市場などの動向を踏まえて判断していきたい」とする。

日本で根付いてきた新卒一括採用の慣行が崩れ、終身雇用の見直しの動きも出始めた。企業は多様な人材配置の最適解を探っている。

以上、日本経済新聞より要約・引用しました。https://r.nikkei.com/article/DGXMZO46876580S9A700C1MM8000?unlock=1&s=1

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