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「ミッドライフ・クライシス」様変わり、X世代は清く正しく

 

スポーツカーや新しい配偶者よりヨガや瞑想

 ベビーブーム世代のトム・フィンさん(57)は50歳の誕生日を迎えた時、友人とラスベガス旅行に出かけた。ナイトクラブに出かけたり、高級カジノホテル、シーザーズパレスのプールサイドでブラックジャックに興じたりと羽目を外して騒いだ。「若き日の大学生活を追体験しようとする男子学生の気分だった」と彼は言う。

 一方、X世代(ジェネレーションX、40~55歳)の妻、デビー・フィンさん(50)は節目の誕生日を、ポルトガルとスペインで1日4~6時間のハイキングをして過ごした。「私の望みはハイキングに行くことで、戸外で過ごしたかった」と彼女は言う。「このところ健康にはるかに気を遣うようになった」

 X世代は中年が再構築する人生のルールに新たな定義を与えている。「ミッドライフ・クライシス(中年の危機)」の典型とされる、スポーツカーや自慢できる新しい配偶者、一般的な不良行動には見向きもしない。むしろヨガや、静かな場所での瞑想(めいそう)、ケトダイエット(低炭水化物・高脂肪の食事法)が主流となりつつある。

 少し前映画やドラマで主流だった「離婚」や「トロフィー・ワイフ(若くて美しい女性との再婚」、「大きな羽目外し」を伴うミッドライフ・クライシスの内容は、X世代では非常に品行方正なものに変わってきている。中年を迎えるX世代の人々は、人生の節目に羽目をはずすより、人生をよりアップグレードさせたいと考える。彼らは結婚も出産も遅くなる傾向にあった。国勢調査局によると、1975年には初婚年齢の中央値が男性は23.5歳、女性は21.1歳だったが、2005年には27.1歳と25.3歳になった。それ以前の世代と比べ、いまの中年は若い時に人生を楽しむチャンスを逃したとの感覚が少ない。それより、わが子の高校卒業を見届けるまで健康を維持できるかという不安のほうが大きい。

 医師や保養リゾート施設、瞑想指導者、体験型旅行会社などは、40代~50代前半で突然目覚め生活を変えようとする人が増えていると口をそろえる。高級旅行専門会社のネットワーク「バーチュオーソ」では、中年を迎えたのを機に南極やマチュピチュといった人里離れた場所や身体的試練を伴う目的地に出かける客が増える傾向にあると言う。

 富裕層向け自転車・ハイキング旅行の運営会社、バターフィールド&ロビンソンでは、節目の誕生日など特別なイベントを祝うX世代からの予約が過去5年間に20%増加したという。また、ジム・チェーンを展開するプラネット・フィットネスが委託した最新調査によると、X世代の60%が2020年に「もっと体を積極的に動かす」ことを新年の抱負に掲げた。

 もちろん、必ずしも世代間の明確な区別があるわけではない。今も多くの中年が反抗的な振る舞いをするし、年を取るにつれて健康的な習慣を身につける人は常にいる。だがライフスタイルが健康状態に影響するという認識が高まり、それが多くの中年の判断を形作っていると医師たちは指摘する。

 全米退職者協会(AARP)の2017年の報告書によると、X世代の「アメリカン・ドリーム」の概念は「健康で満足な生活を送る。つまり健康状態が良く、大きな出費に気をもむ必要がなく、十分なお金を持っていること」だという。報告書の筆頭執筆者であるAARPのパティー・デービッド氏は、X世代は「ベビーブーマーが手にした全ての物を得られるわけではない」とし、ベビーブーマーが同年齢で抱いた「夢」、つまり大きな家と車を持つことを、必ずしもX世代は目指していないと指摘した。

 ピュー慈善信託の2014年の報告書によると、X世代で自分の両親が同年齢だったときより多くの資産を持つ人は約3分の1にとどまる。またX世代は一般に約6倍の負債を抱えている。

 一方で、X世代が中年に差しかかるのとウェルネス産業の成長とはほぼ重なり合う。今やしわ取り注射剤「ボトックス」や睡眠アプリなど幅広い商品を含み、市場規模4.5兆ドル(約496兆円)と推計される(グローバル・ウェルネス・インスティテュートの最新データ)。

 A・J・シュナイダーさんは、自身の中年の危機が始まった瞬間を鮮明に覚えている。それは2年前、46歳のときだった。故郷のニューヨーク州バッファローで高校の同級生の葬式に出席していた。「同い年のよく知る人物が亡くなると、内省的になるものだ」。インディアナ州で引越運送会社のエグゼクティブ・バイスプレジデントを務めるシュナイダーさんは言う。彼はピザとフライドチキンを食べ続けた長年の食習慣、そして高コレステロールの治療薬としてリピトールを10年間ずっと服用していることを振り返った。そして当時12歳と15歳の2人の娘たちを思った。「最も想像したくないのは、彼女たちが親の死後に取り残される姿だった」シュナイダーさんは大半の炭水化物と砂糖を断つことにした。ファスティング(断続的断食)の練習を行い、毎日限られた時間だけ食べ物を口にし、ランニングを始めた。今までに体重を19キロ落とし、リピトールを服用する必要もなくなった。現在、娘たちの高校卒業を祝って「山登りやスキーのようなこと」をしたいと楽しみにしている。

 中年を迎えると人々は喪失感を重ねていく――自分の親、職業上の夢、スキニージーンズをはきこなすこと。健康問題が浮上することもあり、時間は限られていると意識せざるを得ない。サンタクララ大学のジェロルド・リー・シャピロ教授(カウンセリング心理学)は、こうした中年期の「再評価」は健全かつ正常なことだと話す。だが「うまくバランスを取り戻せない」人は、深刻な危機に陥るという。

 シカゴ在住のスーザン・パティル・スウェアリンゲンさんは48歳でうつを経験した。企業で25年のキャリアを積んだ頃だった。「私は非常に充実し、成功した生活を送っていた。そして燃え尽きた」と彼女は言う。スウェアリンゲンさんは治療を受け、自分の生活を厳しく見つめ直し、人生後半に何を望むかを考えた。夫や子供たちの支援もあって、彼女は仕事を辞め、ヨガや瞑想を指導する訓練を受けた。現在、夫婦でフロリダ州に移り住み、彼女はヨガとマインドフルネスを教えながら、女性向け衣料品店「ワイルドハート・ブティック」を営んでいる。

 テキサス州在住で子育てと家事に専念するカイ・ジャクソンさん(51)は、50歳の誕生日に「バケツリスト(死ぬまでにしたいこと)」を始めた。エントリーしたのは、木工細工のクラスを受講すること、気の利いたジョークを覚えること、ピュリツァー賞フィクション部門を受賞した本を全部読むこと、全米50州でマラソンを走破すること(すでに32州でレースに出場)などだ。携帯電話でリストを常にチェックしている。これらの目標に「集中したいと思っている」とジャクソンさんは話す。

以上、Wall Street Journalより要約・引用しました。
https://www.wsj.com/articles/the-virtuous-midlife-crisis-11578830400?mod=searchresults&page=1&pos=2

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