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以前とは違う大卒新入社員の仕事内容

 

新社会人の皆様、社会人となり1ヵ月以上が経ち、GWも終わりました。大卒の皆さんは売手市場で就職活動をし、景気も悪くない中で社会人生活をスタートされました。ただ、大卒新社会人に求められる素質は以前とは異なっています。厳しくなっているのです。

オートメーションとアウトソーシングは社会人1年生が以前請け負っていた事務整理的仕事を取り除きました。現在会社が新入社員に期待することは、誰でもできる雑用を卒なくこなす中で仕事を学んでいくという準備期間を経ずにプロフェッショナルとして活躍してもらうことなのです。上司や顧客への会話やメールによる意思疎通をプロフェッショナルにこなし、顧客の要望を要点を押さえて把握し、そして仕事の成果をあげることがすぐに求められるでしょう。社会人初日から顧客に電話をかけたり、顧客へのプレゼンを作ったりすることを求められるかもしれません。社会人になって1年以内にプロジェクトを任されることもあるかもしれません。会社が大卒新入社員にプロとしての成果を求めるまでの時間は以前に比べて非常に短くなっています。

今日は米国の大卒新社会人を取り巻く環境についての記事を紹介します。
10年以上前、新入社員の仕事は請求書を起こしたり、部署に関連する新聞記事を集めたり、顧客注文をデータ入力するというようなサポート機能から始め、日々の職場での会話相手は自分の同僚や業務を教えてくれる直属の先輩とが主であった。

今日の大卒新入社員の環境事情は異なる。上記のようなエントリー・レベルの仕事がデジタル化によりほとんどなくなってしまったからだ。会社で人がやらなければならない仕事の大半は対顧客渉外関連であったり社内プロジェクトマネジメントに集約されてきている。

10年以上前は新入社員用に会社が用意していた新人研修も、現在はなくなっているか、または期間が圧倒的に短くなっているかのどちらかだ。会社の製品やサービスについての知識は教えてもらうのではなく、自分で空いた時間に獲得していかなければならいのだ。

24歳のリゼット・リチャードはテキサス大学卒業後、昨年9月にフードサービス大手Sysco Corpに就職した。半年後の今、彼女は毎日レストラン運営会社の顧客を相手にメニューの対費用効果、売上促進コンサルティングなどの相談に応じている。彼女は就職後3カ月間他のメニューアナリストやフードコンサルタントについて仕事を学び、その後彼らと同じように自分の顧客を持つようになった。最初の3カ月間は周囲の先輩たちに仕事内容について質問し通しだったという。

会計監査・アドバイザリー法人Grant Thorntonのマーク・マクガイアCEOは「以前は若手の会計士や税理士は大手会計監査法人に就職しても最初の数年間の下積み時代を嫌う者が多かった。今は違う。若手も初日からクリエイティブに考えたり問題解決策を提案したりすることを期待される」と言う。

1990年代、2000年代に企業が行ってきたリストラ策は企業の利益効率を高めることに有益であった。しかしそれは同時に若手社員の基礎トレーニングの場を奪うことでもあった。中間管理職の数は減り、彼らが新人の指導に避ける時間も減った。上司は事業に忙しく、若手のメンターとなったりプロフェッショナルの育成に時間を費やすことが不可能になった。

この傾向は変わらないだろう。つまり、新入社員はプロフェッショナルになるための道筋を自分で見つけなければならないのだ。自身で仕事のネットワークを築き、キャリア向上のための道筋を会社や他人に任せるのではなく、自分のキャリアに自身で責任を持たなければならない。

米国の現在の失業率は3.6%と史上最低水準である。この状況は新人にとっては魅力的だ。会社は従業員をクビにしても新しい人材を簡単に探せる状況ではないからだ。会社は以前のように組織的に若手育成に時間を割くことはしなくなった。新入社員は入社直後に顧客やプロジェクトを任され、辛いこともあるかもしれないが、その分つまらない事務作業に束縛されることもなく自由である。自分なりの方法でキャリアを形成し伸し上がって行くにはなかなかいい環境だ。 

以上、Wall Street Journalより要約・引用しました。https://www.wsj.com/articles/a-wake-up-call-for-grads-entry-level-jobs-arent-so-entry-level-any-more-11557480602?mod=mhp

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