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花形社員に頼りすぎるリスクとは

 

本人が燃え尽きる、同僚が成長しない

常に人並み以上の結果を出す職場のスター社員は成功が約束されている。上司からも顧客からも取引先からも称賛を浴びる。

 だが必ずしもそうなるとは限らない。スター社員は自ら燃え尽きたり、チームの機能を妨げるボトルネックになったり、同僚から学習や成長の機会を奪ったりする可能性があることが、最新の調査で判明した。

 チームが円滑に回り続けるためには、どれほど優秀な社員であっても、やるべき仕事に優先順位をつけ、同僚に仕事を割り振り、自分を頼ってくる人の行列を作らせないようにする必要がある。

 ミシガン州のエンジニアリング会社、ニューイーグル・コンサルティングでチーフエンジニアを務めているジャスティン・ゴーグリン氏は、時として週60時間働き、顧客対応で夜11時まで会社に居残ることもある。同氏は自動運転車などの制御システムを手掛ける。彼のチームは多くのプロジェクトを並行してさばき、一度に4、5種類の納期を抱えることも珍しくない。

 ゴーグリン氏は顧客に特別に要請されてプロジェクトを担当することもある。ひとりで多くの仕事を背負い込む傾向を自覚しており、それが長い目でみた会社の成長につながらないことも承知している。「でも自分がやり方を知っている仕事なら、つい引き受けてしまい、やり遂げるためにより長く懸命に働いてしまうんだ」

 同氏のようなスター社員は、管理職にもジレンマを引き起こす。ニューイーグルの共同創業者であるミッキー・スウォーツェル最高財務責任者(CFO)はゴーグリン氏が燃え尽きてしまうかもしれないことを懸念している。また、彼が過酷なペースで働くのを見て、同僚は出世したくない気分になったり、自分のキャリアが断たれたように感じたりするかもしれない。

 ゴーグリン氏はスウォーツェル氏に促され、責務をもっと周囲と共有するようになった。「チームを成長させる仕事は積極的に任せるべきだ」とゴーグリン氏は言う。また毎日夕方5時半までに帰宅し、妻や3人の子供たちと夕食を共にするという目標も設定した。

礼儀正しく断る

 有能な社員は圧倒的な業績を上げることがある。経営状態のよい小売店舗で成績トップの販売員は、平均的なデパート店員の8倍の金額を売り上げ、アップルのソフトウエア開発部門のエースは、平均的なシリコンバレーの開発担当者に比べて毎日9倍の量のプログラムを書き上げる可能性がある。こう指摘するのはコンサルティング会社ベイン・アンド・カンパニーのパートナー、マイケル・マンキンス氏だ。花形パフォーマーは周囲の人々より平均51%生産性が高いという。

 こうした社員の多くは同僚を助け、建設的な提案をするため、チームの全体的な生産量を引き上げる。87の作業チームを対象に2015年に行われた調査を主導したアイオワ大学のニン・リー准教授(経営・組織学)はこう話す。ところが、クリエーティブな仕事をするスター社員は個々の同僚に圧迫感を与えるほか、同僚の洞察力を磨くのを妨げる傾向のあることが、リー氏の最新調査で分かった。94の販売チームと84の研究開発チームを対象にした調査結果は間もなく公表される。「スター社員は何らかの依存状態を生み出す」と同氏は言う。

 同僚はスター社員と接触する時間を奪い合うことが多く、それが周囲の仕事を滞らせるボトルネックとなる。スター社員が十分な時間を割けないことに不満を持つ同僚の割合が高まるにつれ、当の社員が離職する確率も上昇する。360人の従業員にインタビューを行い、10年間にわたって100社以上の調査を行ったバブソン大学のロス・クロス教授はこう指摘する。

企業環境の中で成功し続けるためには、新たなスキルを身に付ける必要がある。

 会計事務所プライスウォーターハウスクーパース(PwC)のニューヨークの拠点でディレクターを務めるジュリア・ラム氏には、面会を求めるパートナーや顧客、同僚らが後を絶たない。ラム氏が自分たちのプロジェクトに期待したほどの関心を払ってくれないと腹を立てる者さえいると同氏の上司は話す。「何かに非常に秀でている人がノーと言うだけで、周囲を落胆させることがある」

 2人の幼い子どもがいるラム氏は、出産休暇から復帰したある朝、チームのメンバーから個人的な問題について相談したいと連絡を受けたことを思い出す。「スケジュールを確認し、今日は時間がないと思った」。結局、その日の午後の会議を(同僚に代わりを頼んで)中座し、メンバーと会う時間を作った。それ以来、重要でない会議の予定を毎朝キャンセルし、その他の活動には代理を立てることを学んだ。

 また上司は、ラム氏がプロジェクトの優先順位をつけるよう支援している。「彼女は礼儀正しく断ることが上手になった」という。

スーパースターへの助言

職場で円満に働くためにどうすべきかを以下にまとめた。

【やってはいけないこと】

―重要なプロジェクトを一手に引き受ける。

―自分に要求された仕事は決して断らない。

―最後までやり切るために時間を延長して働く。

―多忙すぎて手伝う時間がないからといって仕事を滞らせる。

―同僚から学習のチャンスを奪う。

―自分のアイデアを他人のアイデアより優先する。

【やるべきこと】

―自分に要求された仕事に優先順位をつける。

―手に負えない仕事は他人に任せる。

―職場の仲間のアイデアや提案をどんどん募る。

―過剰負担やバーンアウト(燃え尽き症候群)になるのを防ぐ。

―チームメイトの問題に気づき、支援の手を差し伸べる

―職場の仲間がキャリアを積み上げるのに協力する。

以上、Wall Street Journalより要約・引用しました。

https://www.wsj.com/articles/the-downsides-of-carrying-the-most-weight-at-work-11548776660?mod=searchresults&page=1&pos=2

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