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ソフトバンク、フォートレス買収を発表

 

ソフトバンクグループは銀行ではない。だが金融で圧倒的な力を持つ企業になるために積極的に行動しているのは確かだ。

同社は2月15日、米投資会社フォートレス・インベストメント・グループを現金33億ドル(約3760億円)で買収することで合意したと発表した。ハイテク複合企業が資産運用会社を買収するのはあまり例もなく、思い切った決断だが、大胆な取引と並外れたビジネス感覚で知られるソフトバンクの孫正義社長によるものであれば、それほど驚くに値しないのかもしれない。

孫氏の次の大きなプロジェクトである1000億ドル規模のソフトバンク・ビジョン・ファンド創設を思えば、フォートレス買収は理にかなっている。2016年10月に創設を発表した同ファンドには、サウジアラビアの政府系ファンドであるパブリック・インベストメント・ファンド(PIF)が450億ドル、ソフトバンクが250億を投じる。孫氏は先週、ビジョン・ファンドの資金調達は最終段階にあると述べた。アップル、クアルコム、オラクルの創業者ラリー・エリソン氏もこのファンドに出資する。

ソフトバンク自身はすでにベンチャーキャピタルファンドのように運営されている。同社が中国の電子商取引大手アリババ・グループ・ホールディングへの早期の投資から多額の売却益を得たことは最もよく知られている。孫氏の投資へのひらめきではなく外部資金を利用するには厳密な手順を踏む必要がある。このファンドの規模を踏まえると特にそう言える。KPMGによると、昨年の世界のベンチャーキャピタル投資総額は1274億ドルと、想定されているビジョン・ファンドの規模をわずかに上回ったにすぎない。

運用資産約700億ドルのフォートレスを買収すれば、ソフトバンクは投資専門家チームと投資に必要なインフラを即座に手に入れることができ、全てを最初から構築する必要がない。孫氏がビジョン・ファンドの運営責任者に選んだ元デリバティブ(金融派生商品)トレーダーのラジーブ・ミスラ氏はソフトバンク入社前、フォートレスで働いていたため、同社のことをよく知っているはずだ。

この買収のもう一つの側面は、フォートレスがハイテク分野の専門家ではないということだ。同社の未公開株投資は、老人ホーム、ゴルフコース、鉄道など、安定した現金収入が得られる資産を対象としており、ビジョン・ファンドが目指すとみられる壮大な長期投資とは対照的だ。買収額はフォートレス株の金融危機後の高値に近く、13日の終値を39%上回る水準。これは予想株価収益率(PER)9.8倍に相当し、他の上場資産運用会社に比べやや割安だ。何故なら、フォートレスの利益率が同業他社に比べて低いからだ。

孫氏は買収額が少々高過ぎても気にしないとみられる。フォートレス買収はソフトバンクの尺度からみれば大規模な買収ではない。ソフトバンクは昨年は英半導体開発大手ARMホールディングスを320億ドルで買収した。ビジョン・ファンドに出資した有力投資家を満足させ続けることができるファンドマネジャーのチームを孫氏が採用できれば、これが最高のボーナスとなるだろう。

以上、Wall Street Journalより要約・引用しました。https://www.wsj.com/articles/behind-the-fortress-deal-a-japanese-billionaires-huge-ambitions-1487202024

The deal to acquire Fortress Investment Group is the latest surprise from SoftBank whose founder, Masayoshi Son, is a fast-moving billionaire who has aspirations of turning the firm into a global behemoth with arms in finance, technology and communications.

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