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金利ゼロ%台融資、6割超。揺らぐ銀行ビジネスモデル

 

日銀のマイナス金利政策は、銀行の収益モデルを変え、ビジネスモデル自体も変えつつある。超低金利だからといって企業の資金需要が旺盛になっているわけではなく、伸びている貸出残高は不動産関連融資である。

銀行の貸出金利が下がり続けている。日銀の調べによると、2017年末の貸出金残高のうち、金利0%台の融資が全体の62%に達した。16日で日銀がマイナス金利を導入して2年となるが、その直前の15年末から11ポイント上がり、17年末は過去最高の水準に達した。利ざやでもうける伝統的な銀行のビジネスモデルは抜本的な見直しを余儀なくされている。


国内銀行の貸出金残高は17年末時点で471兆円(外貨貸し出しなど含まず)。このうち289兆円が金利1%未満の貸出金だった。比較的利ざやの厚い金利2%超の貸出金は10%で5ポイント下がった。企業や個人の借り換えが進んだ影響が大きい。
貸出金はマイナス金利の導入で15年末から6%増えたものの、目立つのは不動産への融資。上場企業の過半は実質無借金で、「資金需要は強くない」(メガバンク首脳)のが実情だ。足元では大都市圏の地価高騰に伴う不動産融資が減速しており、月次でみた貸出金の伸びは前年同月比2%台にまで下がってきた。

国内市場に特化した地方銀行では本業の収益減に歯止めがかからない。上場地銀82行・グループの17年4~12月期決算を見ると、本業のもうけを示す単体の実質業務純益は全体の7割が減益になった。

預金金利はゼロ%に近いにもかかわらず、預金は760兆円と2年前に比べ12%増えた。少子高齢化で社会保障への将来不安が強く、貯蓄志向は変わっていない。

マイナス金利政策は民間の銀行が集めた預金を日銀に預けると、義務として預けなくてはならない法定準備預金額を超えた分の一部に0.1%の利息を日銀に払わなければならない。

銀行はマイナス金利を回避する目的で、信用力の高い独立行政法人などへの「ゼロ金利貸出」を急激に増やしている。金利0.25%未満の貸出金は75兆円で7割増えた。日本学生支援機構や預金保険機構などが金利ゼロで資金を調達している。

収益を維持するために、みずほフィナンシャルグループが今後10年間で従業員全体の4分の1に当たる1万9000人を減らす構造改革に着手する。コスト削減にどの金融機関も手を付け始めた。

日銀は当面マイナス金利政策を維持する考えだが、金融機関の収益圧迫など副作用は目立つ。黒田東彦総裁は続投が固まったが、今後の金融政策のかじ取りは一層難しくなる。

以上、日本経済新聞より要約・引用しました。

https://www.nikkei.com/article/DGXMZO26953920V10C18A2MM8000/?nf=1

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