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三菱UFJ「環境債」で資本増強 3000億円規模

 

 

三菱UFJフィナンシャル・グループは月内に、再生可能エネルギーへの投融資に使途を限った新しい債券で資金調達する。自己資本に算入できるのが特徴で、発行額は今後2千億~3千億円に拡大する見通し。機関投資家の環境向け投資を取り込み、国際的な自己資本規制強化の流れに対応する。

 同グループは9月に「TLAC債」と呼ばれる資本性の証券を計30億ドル(約3千億円)発行する計画で、うち5億ドルを環境に使い道を限定した債券(グリーンボンド)にする。

 「TLAC」はグローバルに活動する国際金融グループに適用される新しい健全性の基準で、多額の損失が出ても吸収できるように銀行に資本を厚く積むことを義務付ける内容だ。TLAC債は万が一、銀行が破綻したときには投資家の元本が毀損する仕組みのため自己資本に極めて近いとみなされており、各行が発行を急いでいる。

 三菱UFJはグリーンボンドで集めた資金を太陽熱・太陽光、風力といった発電事業に投じる。償還期間は7年で、利回りは年2%後半を想定。同じ期間の米国債と比べ1%程度高く、海外投資家らの需要を見込む。

 環境特化型の債券を出すのは、環境債の市場が年々拡大し、安定した資金調達の手段として欠かせなくなりつつあるため。米ブラックロックなど海外の大手機関投資家は環境専用のファンドを設立している。

 多額の資本増強とそれに必要な投資家の確保という狙いを両立できる利点があり、三菱UFJ以外のメガバンクでも活用が広がりそうだ。

 国際規制ではTLAC債を含めた広義の資本を、2022年3月までに資産の18%以上積み上げることを求めている。

 三菱UFJの場合、この規制をクリアするために毎年60億~80億ドルのTLAC債を発行する必要があり、そのうち1年~1年半に一度は5億ドル規模のグリーンボンドを発行する計画だ。

 単純計算すれば計2千億~3千億円の環境債を発行し、その資金が今度は三菱UFJから様々な環境向けの投融資として国内外に流れていく計算となる。

 三菱UFJが15年に組んだ事業融資(プロジェクトファイナンス)のうち、再生可能エネルギーに関連するものは26億ドルと世界2位の規模だ。残高は100億ドル(約1兆円)に上る。

 例えば、三菱東京UFJ銀行は15年6月に稼働した英国のウェスタモスト・ラフ洋上風力発電に約500億円の事業融資を実施した。環境債での資金調達が軌道に乗れば、こうしたプロジェクト融資が増えそうだ。

 邦銀はこれまで海外を中心とした投融資の拡大に伴って資本を増強してきたが、「今はどれだけ資本調達できるかが成長のペースを決める時代」(三菱UFJ幹部)。機関投資家の外債投資の拡大などで市場での外貨調達コストが上昇していることも、海外での資金調達を拡大させる要因となっている。

以上、日本経済新聞より引用しました。

http://www.nikkei.com/article/DGXLASGC05H11_W6A900C1MM0000/?dg=1

www.nikkei.com
 三菱UFJフィナンシャル・グループは月内に、再生可能エネルギーへの投融資に使途を限った新しい債券で資金調達する。自己資本に算入できるのが特徴で、発行額は今後2千億~3千億円に拡大する見通し。

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