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日産自動車、ゴーン氏が4月にCEOを退任

 

日産自動車は、カルロス・ゴーン社長兼最高経営責任者(CEO)が4月に退任し、西川廣人氏が後任に就くと発表した。西川氏は現在、共同CEOを務めている。ゴーン氏は、ルノー、三菱自動車とのアライアンスを統括する役割を担うために、日産の会長にはとどまる。同氏は三菱自動車の会長とルノーのCEOも兼任している。

ゴーン氏は現在62歳である。レバノン人の両親からブラジルで生を受けたフランス人の自動車業界再編への貢献は計り知れない。ゴーン氏は過去20年にわたり、経営危機に瀕していた日産自動車を救済復活させ、ルノーや三菱自動車との提携を実現させた。

ゴーン氏の日産自動車CEO退任は、日産自動車が復活を遂げて成長・安定して久しく、一つの時代の区切りを象徴するが、日産には課題も残っている。1つは、日産とルノーの相互持ち株状態が将来にわたって維持可能かどうかということである。現在ルノーは日産の株式を43%保有し、日産はルノーの株式を15%保有している。もう一つの課題は、ゴーン氏退任後、ルノーと日産両方の経営リーダーとなる人材が存在するかどうか、である。

現在日産自動車の共同CEOである西川氏は、昨年10月に日産自動車が不祥事のあった三菱自動車株34%を買収した際に任命された。西川氏は日産自動車生え抜きであり、ゴーン氏が日産CEOとなった1999年に欧州日産で経歴を積み、その後米国日産の責任者となった。日産はグローバル経営を進めてはいるものの、未だ北米依存の状態であり、ドル円相場の影響を受けやすい体質にある。必然的に、欧州を主戦場とするルノーと、アジア・北米中心の日産の合併が議論に上る。しかし、これも一筋縄ではいかない。

ルノーの株式20%はフランス政府が保有しており、ルノーに対するフランス政府の影響力は強い。ルノーと日産が合併する可能性は2015年に議論されたが、日産は反対し、ゴーン氏は日産の独立を守ってきた。理由は、日産が目標とする世界の自動車市場での成功と、フランスの国益を優先するルノーの目標は相反し、合併しても戦略が支離滅裂となり、相乗効果はないからである。両社は提携という形で戦略的パートナーでいるのが一番有益である。ゴーン氏は常に、「フランス政府がルノーの株主である限り、ルノーと日産の合併はあり得ない」と言っていた。このルノーと日産自動車の微妙なパワーバランスが、ゴーン氏退任の後どうなるのかは未知数である。

日産とルノーはEV等の技術分野で競合他社の先を行く。2010年発売開始の100%EVの日産リーフは、テスラほどパワー持続力はないものの、EV市場のベストセラーカーである。

日産はホームマーケットの日本で、ハイブリッドカー「ノート」を発売し、トヨタの旗艦車であるプリウスの月間販売を過去2カ月間追い抜くところまで成長させた。

現在両社は自動運転技術開発に力を入れており、ゴーン氏は「日産とルノーは2020年までに自動運転車を10モデル販売開始する」と述べている。

ゴーン氏が一歩退いた後の日産及び自動車業界再編の動向がどうなるのか、ゴーン氏が達成した偉業がどう引き継がれ、発展していくのか、目が離せない。

以上、Wall Street Journalより要約・引用しました。

https://www.wsj.com/articles/carlos-ghosn-resigns-as-nissan-ceo-1487807319?mod=videorelated

Carlos Ghosn is leaving his CEO role at Nissan, which he rescued from near-collapse and led for nearly two decades, to take a broader oversight role of the alliance linking Nissan with Renault and Mitsubishi.

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