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アサヒ、ビール世界最大手アンハイザー・ブッシュ・インベブの東欧5カ国ビール事業買収で合意

 

アサヒグループホールディングスが、ビール世界最大手のアンハイザー・ブッシュ・インベブ(ベルギー)と、東欧5カ国のビール事業を約8883億円で買収することで合意した。一見高い買い物だが、買収の中身に目を凝らすと、アサヒらしい堅実さも垣間見える。

brew-1031484_960_720買収対象はインベブが買収した旧SABミラー(英国)の傘下だったチェコとポーランド、ハンガリー、スロバキア、ルーマニアの事業。ビール会社の世界的な再編には一巡感も出ており、アサヒにとってはラストチャンスともいえた案件だった。

株式市場では懸念が先行した。買収が伝わった13日は午後2時ごろから株価が急落、終値は3497円と前日比5%安となった。

背景には財務体質悪化への警戒感がある。当初は5000億円程度とみられていた買収額が1.8倍に膨らんだためだ。アサヒは2018年12月期までの中期経営方針で、成長投資に伴って負債資本倍率(DEレシオ)が財務の健全性の目安とされる1倍程度まで悪化することは許容する、との方針を示していた。フリーキャッシュフローの見込みなども勘案すれば、5000億円であればDEレシオは1倍程度に収まり、アナリストからも「違和感はない」との評価があった。

しかし今回の買収でDEレシオは1倍を超える見通し。9月末時点で47%だった自己資本比率の悪化も避けられない。市場関係者からは「買収による成長は否定しないが、投資額が大きすぎる」(国内運用会社の運用責任者)との声も聞こえてくる。

だが、今回の案件を「高値づかみ」と判断するのは早計だろう。確かに買収額は巨大だが、裏側にはアサヒらしい堅実な読みも見て取れるためだ。

例えば、買収先のキャッシュフローで買収代金を回収するのに何年かかるかを示す「EV/EBITDA(利払い・税引き・償却前利益)倍率」。今回の対象企業の業績見通しから計算すると約14倍になる。調査会社ディールロジックによると、欧州のビール会社を対象とした1995年以降のM&Aの平均値は約19倍で、割高な買い物ではない。

加えて、対象企業の収益力も高い。スロバキアを除く4カ国ではシェア首位で、EBITDAでみた利益率見通しは約31%。スーパードライを中心としたアサヒの酒類事業の15年12月期実績(約24%)を上回る。

かねて小路明善社長は「M&Aなどを通じて『グロース株』と見てくれる投資家を増やしたい」と語っている。ただ、その際は「既存事業の価値を落とすようなことがあってはならない」とも付け加えていた。アサヒの強みである堅実性を損なわない範囲と判断したからこそ、買収に踏み切ったともいえそうだ。

今後は買収先の販路などを生かし、スーパードライなどの既存ブランドをグローバルに展開していけるかどうかが焦点になる。10月に買収した西欧事業では、18年からスーパードライを現地で製造販売する方針を決めている。東欧でも、具体的な戦略を早期に市場に示す必要がありそうだ。

以上、日本経済新聞より引用しました。

http://www.nikkei.com/article/DGXMZO10666040U6A211C1000000/

 アサヒグループホールディングスが、ビール世界最大手のアンハイザー・ブッシュ・インベブ(ベルギー)と、東欧5カ国のビール事業を約8883億円で買収することで合意した。アサヒを「堅実で安定成長を続ける会

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