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タカタの救済支援 - スウェーデンのオートリブ社が有力か

 

自動車業界は、タカタの命運を注視している。自動車会社の多くは過去にエアバッグの大手供給者であるタカタと取引をしており、タカタの顧客であると同時に信用供与者であるからだ。

laboratory-1009190_960_720タカタのエアバッグは起動膨張時に爆薬の一種である硝酸アンモニウムを使用する。硝酸アンモニウムは長期間湿気に晒されると劣化し、榴散弾をまき散らすような爆発を引き起こすことがある。実際引き起こされた爆発により、12人以上が死亡し、アメリカだけで合計7千万台以上の自動車がリコールされ、全世界合計のリコール費用は120億ドルを超えると言われている。ご存知の通り、タカタの株価は急落している。

タカタの救済支援社候補として、日本の化学品会社ダイセルと投資会社ベイン・キャピタル連合、キー・セーフティ・システム社、Flex-N-Gate社等の名前が挙がっていたたが、事情関係者によるとスウェーデンのオートリブ社が有力候補となりつつあるという。オートリブもエアバッグ供給社であり、疲弊したタカタの事業を最もスムーズに、ダメージを最小限に抑えた形で移行できると業界関係者は考えているようだ。今後同様の事故を避けるためにも、エアバッグ生産経験のある会社が支援に入った方が、生産プロセスの管理もできると見られている。

但し、ハードルもある。独禁法だ。オートリブのエアバッグ世界シェアは40%。タカタは20%であり、合計すると圧倒的なマーケットシェアとなる。従って、当局よりストップがかかる可能性がある。

texture-860666_960_720ダイセル・ベイン連合は、米国・日本両国でタカタを破産法適用申請させるつもりでおり、これが交渉に決定的打撃を与えた。アメリカはともかく、日本で破産法適用となると部品サプライヤーである日本の中小企業がタカタに信用供与できなくなり、最終的にはタカタの日本での生産活動は非常に難しくなってしまうからだ。

オートリブ及び他の救済支援候補社は自動車部品メーカーであり、日本での破産法適用申請はしないとしている。

キー・セーフティ・システム社、Flex-N-Gate社はまだタカタの救済支援社決定プロセスに残っている。現段階ではオートリブが有力だが、今後の流れに要注目である。

以上の記事は、Wall Street Journalより要約・引用しました。

http://www.wsj.com/articles/takata-customers-back-rival-autolivs-takeover-plan-1479294990

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