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メリルリンチ社員 - 隣の芝生は青く見えるか

 

米銀大手、バンク・オブ・アメリカ(バンカメ)にとって、今年は重大な節目を迎える年となります。バンカメは7年前にメリルリンチを買収した際、メリルの証券事業を買収の最も重要な部門と位置付けました。

 

過去10年に亘り、米証券ブローカー事業1位の座を死守したメリルですが、年間収入の面でモルガン・スタンレーに抜かされそうなリスクに晒されています。モルガン・スタンレーは昨年の3四半期を通じて、収入面でメリルを若干上回りました。

 

office-620822_960_720ただし、メリルは運用する顧客資産残高を含む大半の主要指標で依然としてモルガン・スタンレーをしのいでおり、またバンカメはウェルスマネジメント事業の成長に依然注力しています。同事業は収益が比較的予想可能なため、ウォール街では重宝されています。メリルの事業は引き続きバンカメにとって大切な事業柱なのです。

 

バンカメとメリルの統合以来、メリル側の企業カルチャーにも大きな変化があったようです。

メリルとバンカメの統合は当初から波乱含みの様相を呈していました。メリルのブローカーは独立性を重視しており、「銀行界のウォルマート」を自認するバンカメの傘下に置かれることで報酬や自主性の面で立ち位置が後退することを懸念していました。実際この7年で、旧来からのメリル・カルチャーはなくなり、現在はバンカメ・カルチャーが主導となっているようです。

 

バンカメがメリルを買収した際、メリルのブローカーが他社に移ることを防止するために、メリルの社員に潤沢なリテンションパッケージ(退職引き留め策)が提供されました。そのパッケージは今月失効します。つまりこれはリーマン危機後潤沢な給与パッケージに守られてきて、市場の給与競争に直接晒されなかった旧メリルの社員が、初めて隣の芝生を意識することに繋がります。

 

business-1012761_960_720メリルの事業は引き続きバンカメにとって大切な事業柱ですが、同行は同時にBrian Moynihan CEOが掲げるコスト削減策を実行する必要もあります。同行は元メリル社員に対するリテンション・パッケージの失効を通じて、4億ドルを削減するとしています。同パッケージは2008年のメリル合併後にメリル社員の大量退職を防ぐために導入されました。この策により高額報酬を得ている多数のベテラン・ブローカーが同パッケージの失効に伴い、またバンカメ主導のカルチャーに見切りをつけるために、年内に同社を離れる可能性は高くなります。これはバンカメのコスト低減につながる一方、収入に打撃を及ぼす可能性もあります。

 

また追加策により、メリルの一部の資産運用アドバイサーの今年の報酬は減少する可能性があります。報酬プランに関する09年以降の最大の変更の一環として、基本報酬を受け取るために上げるべき収入基準が引き上げられたからです。また、保有資産25万ドル以下の顧客を担当するブローカーへの報酬も引き下げます。裕福な投資家を相手にすることを奨励する動きです。

 

以前、メリルの資産運用アドバイザー1000人以上を配下に置いていた元幹部で2014年に同社を離れたChris Dupuy氏は、パッケージ失効によって「多くの人が自分の選択肢に注目している」と述べました。

 

今年はメリルから他社に転職する流れが起こるのかもしれません。

 

以上、Wall Street Journalより要約引用しました。

 

http://www.wsj.com/articles/merrills-herd-comes-to-a-turning-point-1453160540

 

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