空気は敵！妥協を許さないIKEAのコスト削減戦略

「この数センチが何とかならないか」

- スウェーデンのIKEA本社では、組立方法・梱包方法の改善によるパッケージの縮小化をすることにしのぎを削る人々がいます。「僕たちは梱包の中に空気の場所があることが許せないんだ。とにかく無駄な梱包容量は削減しないと」

IKEAの家具の価格破壊は既に周知ですが、その価格を更に下げるため、梱包の際の無駄は徹底的に叩かれます。IKEAの家具の梱包は年々小さくなっているようです。

例えば、2010年、それまではほぼ完成系で販売していた3人掛けのソファ「Ektorp」は、分解して平らな段ボール箱に納めることに成功しました。ソファの肘掛けや背もたれを取り外し式にした成果です。これにより、同商品の梱包容量は50％削減され、輸送トラック7,477台分のコスト削減が可能となり、ソファの最終価格は14％引き下げられました。

2011年にはダイニングテーブルシリーズ「Bjursta」の脚を空洞化させて軽量化に成功し、価格を279ユーロから199ユーロに引き下げました。

上記以外にも、本当に細かいところまで軽量化、分解化の工夫が凝らされ、こうした努力はIKEAの年間コストを120万ユーロ（15億円）削減することに貢献しています。

しかし、こうしたコスト削減戦略はリスクを伴わないわけではありません。あまりに細分化された家具は、組立に一層の時間がかかり、それを敬遠する消費者のIKEA離れを引き起こしかねません。

実際、筆者は先月に来客用ベッド「BRIMNES」を購入し、何と組立に4時間かかり、何十本もドライバーでネジを締めたため、翌日右腕が筋肉痛となりました。この作業は、例えばお年寄りや時間のない人には無理です。IKEAは価格と組立作業の適度なバランスを探るため、膨大な商品レンジから作り出された独自のデータベースを構築し、価格追及のあまり消費者の忍耐力・許容力に挑戦しすぎない家具のデザインをするように配慮しているそうです。

IKEAは2020年の売上高目標を500億ユーロ（約6兆8千億円）としています。この数字は2014年の売上総額の74％増となります。現在世界中にIKEA店舗は315店ありますが、今年は更に13店の新規店舗を開きます。これからの6年間でインド市場にも参入し、世界中でオンラインショップを増やす計画です。

IKEAの創始者Kamprad氏は今年で89歳。スウェーデンの南の田舎町Älmhultで育った彼は、いまだに飛行機はエコノミーで飛び、パーティー会場には公共バスで到着し、ホテルのミニバーにはスーパーで買ってきた飲み物を詰めます。

「Älmhultは本当に小さくて貧しい町だった。みんないろいろなものを貸し借りして使ったし、如何に少ない材料で便利なものを作るかを考えて生活していた。地に足の着いたこの感覚こそが、徹底した無駄の削減に役立つんだ」と彼は語ります。これはどこの企業にも通用する感覚でしょうね。

以上はWSJより要約引用しました。

http://www.wsj.com/articles/ikea-cant-stop-obsessing-about-its-packaging-1434533401