【ニュースクリップ】インテル、２兆円で米同業を買収　ネット関連強化

半導体業界の統合・再編の動きは活発で、M&Aによる大手同士の統合が進んでいます。1日に半導体世界最大手のインテルによるアルテラの買収が発表されました。金額は2兆円を超えます。世界規模からするとまだまだ中規模の半導体企業がひしめく日本ですが、固定費率が高く、規模の経済が物言う半導体業界だからこそ、日本でもさらに統合が続く可能性があります。

半導体世界最大手の米インテルは１日、同業の米アルテラを約167億ドル（約２兆700億円）で買収すると発表しました。データセンターの能力向上や電力削減の切り札として注目を集める「ＦＰＧＡ」と呼ぶ半導体に強みを持つアルテラを傘下に収めることで、好調なデータセンター向けや、成長戦略の柱として力を入れる「インターネット・オブ・シングス（ＩｏＴ）」向け事業を強化します。

インテルはアルテラの株主に対し、１株あたり54ドルを現金で支払います。インテルのＭ＆Ａ（合併・買収）案件としては2011年に買収した米セキュリティーソフト大手マカフィーの約77億ドルを上回り過去最大となります。

1983年設立のアルテラは自社で工場を持たず、半導体の設計・開発に特化したファブレス企業。日本を含む世界19カ国以上に拠点を置き、14年の売上高は前年比12％増の19億3200万ドル、純利益は７％増の４億7200万ドルでした。

回路構成を自由に書き換えられるＦＰＧＡは携帯電話の基地局向けが主力だが、大規模なデータセンターを運営する大手ネット企業からの引き合いが増えています。

米マイクロソフトは今年から自社のデータセンターにＦＰＧＡを導入。検索エンジン「Ｂｉｎｇ」の処理の高速化につなげます。中国の検索大手、百度（バイドゥ）は「ディープラーニング（深層学習）」と呼ばれる人工知能の手法を用いた画像検索に活用することを検討しています。

インテルはデータセンターで使われるサーバー向け半導体で約90％のシェアを握ります。データセンター事業の売上高は主力のパソコン向けの半分程度だが、営業利益では全体の65％を占めます。

アルテラはこれまでＴＳＭＣ（台湾積体電路製造）に半導体の製造を委託していたが、回路幅14ナノ（ナノは10億分の１）メートル世代の製品についてはインテルに委託しています。

半導体市場の成長鈍化と開発コストの増大を背景に、業界では再編が相次いでいます。３月にはオランダ半導体大手のＮＸＰセミコンダクターズが米同業のフリースケール・セミコンダクタを167億ドルで買収すると発表。先月28日には、米アバゴ・テクノロジーが米同業のブロードコムを370億ドルで買収すると発表しました。

http://www.nikkei.com/markets/kigyo/ma.aspx?g=DGXLASGM01H96_01062015FFB000